
みなさんは、BLWって聞いたことはありますか?
BLWとは、Baby-Led Weaning(ベビーレッドウィーニング)の略称で、イギリスの助産師が提唱した離乳食の食べさせ方です。
BLWは欧米で人気の方法で、徐々に日本でも注目を浴び始めています。
BLWとはどういう方法なのか、メリットやデメリットはどんなところなのか。
今回はBLWについてや、そのメリットとデメリットを詳しく解説し、実践方法などをサポートしていきます!
目次
1.BLW(赤ちゃん主導の離乳食)とは?

BLWの基本と従来の離乳食の違い
BLWとは、赤ちゃんが自分で食べ物を手に取り、自ら食べる方法のことです。従来のように、親が主導で赤ちゃんに食べさせるのではなく、赤ちゃん自身が自分の意思で食事をすすめるスタイルです。
・Baby(赤ちゃん)
・Led(主導の)
・Weaning(離乳法)
という言葉のとおり、赤ちゃん主導の離乳食で、赤ちゃんが自ら食べる順番や量を選びます。
従来の離乳食との大きな違いは、赤ちゃんが自分の意思で食べたいものや順番を決めるという点です。
パパやママが無理に食べさせようとしたり、食べるように促したりすることなく、赤ちゃんの意思を尊重するのがBLWの大きな特徴です。
また、従来の離乳食はパパやママが選んだものを食べさせてあげますが、BLWでは赤ちゃんが自ら手づかみやスプーンで食べます。
用意されたいくつかの食べ物の中から、赤ちゃん自身が好きな物を選び取り、味や香り、感触などを楽しみながら食事をします。
こうして食べ物の感触などを知ることが、赤ちゃんの心と体の成長につながっていきます。
どんな家庭や赤ちゃんに向いている?

BLWは、赤ちゃんが食べ物に興味を持ち始めた頃(生後6か月頃〜)から取り入れられます。
「手でなんでも触りたい」「口に入れて確かめたい」など、探求心が強いタイプの赤ちゃんにぴったりです。
また、家族が一緒に食卓を囲むスタイルの家庭にも向いています。
赤ちゃんも同じ食卓に座り、「家族と同じものを食べている」という安心感を得られるのも魅力です。
BLWを提唱した背景と海外での広がり

BLWは、イギリスの訪問保健師Gill Rapleyと、ジャーナリストTracey Murkettによって提唱されました(※1)。
彼女らは、「赤ちゃんは自分で食べる力を持っている」という考えのもと、無理にスプーンで食べさせる従来の方法に疑問を持ち、この手法を広めました。
現在ではイギリスをはじめ、ヨーロッパ各国、アメリカ、オーストラリアなど多くの国で広く実践されています。
日本でも徐々に注目されてきており、「赤ちゃんの自主性を育てる離乳食法」として人気が高まっています。
詳しいやり方やレシピなど、下記のリンクも参照にしてみてくださいね。
| BLW離乳食協会 https://babyledweaning.or.jp/ |
また、BLW離乳食をもっと詳しく知りたい!という方には下記の記事内にある本もおすすめです!
2.BLWのメリット

ここでは、BLWのメリットについて詳しくご紹介していきます。
(1)赤ちゃんが「食べる力」を育てられる

この「お腹がいっぱい」という感覚はとても重要で、将来食べ過ぎを防いで健康的な食の習慣を身につけることに役立ちます。
自分の体のサインにしたがって食べることで、赤ちゃんもストレスなく食事を楽しむ事ができるというメリットがあります。
(2)手先の発達と集中力が伸びる

BLWの2つめのメリットは、赤ちゃんの手先が器用になるという点です。
自分で食べ物をつかんで口へ運ぶので、手先の器用さが育まれます。
野菜や果物などを指先でつかんで口へ運ぶ動作は、大きくなってから絵を描いたり字を書いたりするという作業に活かされます。
普段当たり前にやっている動作ですが、赤ちゃんにとってはこれも練習になるのです。
また、自分の意思で動かす手や指の使い方を学び、自然と集中力も養われます。
(3)食事時間が楽しくなる

色んな形や色の食べ物にふれることで、赤ちゃんの好奇心が大いに刺激されます。
食べ物をつかんで握ってみたり、口に運んでみたり…遊びながら楽しむことで食事の時間が楽しくなります。
食べ物に対して前向きな気持ちになり、偏食や好き嫌いが少なくなります!
また、子供だけでなく、ママやパパもblw離乳食を取り入れることで、食事の時間が楽しくなります。
なぜなら、従来の離乳食だと作るのが大変だったり、自分のご飯はそっちのけで子供に食べさせてあげないといけなかったり…とママやパパへの負担が大きいのですが、
BLW離乳食では、赤ちゃんが自発的に自分でご飯を選び・食べるため、親も一緒に自分のお食事を楽しむことができるのも魅力なんです。
そしてBLW離乳食が提唱された本来の目的は、ママ・パパが「離乳食だから…」と気負うことなく、気軽にお食事を楽しむことができるようにと、そんな想いで広まった離乳食の新しいやり方でもあるんですよ。
(4)家族で一緒に食事を楽しめる

家族みんなで同じ時間に、同じように食卓を囲むことができるので、家族の絆が深まるとともに赤ちゃんも満足できます。
また、パパやママが食べるお手本を見せてあげることで、赤ちゃんも自然と食事のマナーや習慣を身につけることができます。
(5)ママ・パパの調理負担が軽くなる

通常の離乳食は野菜などは切って、柔らかく茹でて、裏ごししてペースト状にして…と、とにかく手間がかかります。
BLWの場合、野菜であれば基本的に赤ちゃんの食べやすい大きさに切って柔らかく茹でるだけなので、用意が楽です。
その際、気をつけなければならないのが、野菜などは必ず細長く切って調理しなければならないという点です。
手づかみ食べ用に食材を用意する場合は、必ず小さく切り分けてあげるようにしましょう!
とくにミニトマトなどの丸い物は窒息のリスクを下げるため、少なくとも4等分より小さく切るようにしましょう。
調理した野菜などは、歯ぐきで潰せる程度の硬さにすると赤ちゃんが食べやすいです。
我が家の場合は、離乳食初期は全ての食材をすり鉢を使ってペースト状にしていましたが、とにかく手間がかかるので離乳食作りを負担に感じていました。
なので切って茹でるというシンプルな調理法は手間がかからなくて本当にいいですね。
3.BLWのデメリットと注意点

様々な魅力的なメリットがあるBLWですが、一方でデメリットもあります。
ここでは、BLWのデメリットや注意点についてご紹介していきます。
(1)窒息のリスクを減らすためにできる工夫

実は、通常の離乳食とBLWでは、窒息の可能性は変わらないと言われています。
BLW離乳食だからと言って大きいまま与えると、窒息の危険性があります。
BLWでも通常の離乳食でも、食べ物の大きさや形、柔らかさには十分注意して、赤ちゃんが安全に食べられるように慎重に行ないましょう。
細長く切って柔らかく煮た野菜や、アボカドやバナナなど、柔らかい果物などもいいですね。
赤ちゃんの窒息予防に関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
(2)食べこぼし・後片付けをラクにする方法

まだ手指を上手に動かすことのできない赤ちゃんが自分で食べるので、食べこぼしが多いです。
食べ物がテーブルだけでなく床にまで散らかってしまい、毎食後の掃除が負担になってしまうことがあります。
ロングタイプのお食事エプロンを使用したり、床にシートなどを敷くと後片付けが楽になります。
食べこぼし対策はこちらの記事でもご紹介していますので、参考にしてみてください。
(3)栄養バランスの偏りを防ぐ工夫

BLWでは、赤ちゃんが自分の好きな食べ物を優先して食べるため、栄養バランスが偏ってしまうことがあります。
特に初期の段階では、鉄分やビタミン類などの大事な栄養素が不足してしまうことが多いため、工夫してバランスをとることが大切です。
月齢・年齢によっては必要に応じて、フォローアップミルクなどで補ってあげるのも良いですね。
(4)時間がかかる時の対応と考え方

BLWでは、赤ちゃんが自分の好きなペースで食べるので、どうしても食事の進行が遅くなってしまいがちです。
時間のないときや忙しいときには、イライラしたりストレスを感じたりしてしまうことがあります。
ですが、これは赤ちゃんが食事を楽しみながら満腹感を感じるために大切な時間でもあります。
気長に見守ってあげられるようにするといいですね。
※食べる量はお子さんによって個人差があると思いますので、もし「食べすぎかな・・・?」と心配になったり、「太りすぎかも・・・?」と不安になるようであれば、母子手帳に記載の成長曲線を参考にしてみたり、かかりつけ医に相談するようにしてくださいね。
4.BLWの実践方法

食事環境や食べ物の準備のしかたなど、参考にしてみてください。
(1)安全な食事環境の整え方(イス・姿勢・見守り)

まず、赤ちゃんをテーブル前の安定したイスの上に座らせます。
BLWではこのイスに座る姿勢というのも大事なポイントになってきます。
・腰を立てて座る
・膝の角度を90度にする
・足裏をつけて座る
・肘の高さにテーブルがある
BLWを実践する上でのポイントは、清潔にしたテーブルに食材を直接置くということです。
これにより、赤ちゃんは食材にのみ集中することができます。
お皿やボウルなどは、食事に慣れてきたら取り入れるようにします。
また、パパやママが食材を手渡したり、口に運んだりはしないようにしましょう。
手伝いたくなる気持ちはわかりますが、ぐっとこらえて見守ることが大切です。
BLWでは、赤ちゃんが自発的に食材へ手を伸ばすのを根気強く待ちます。
(2)食べやすく安全な食材の選び方

BLWを実践する際には、赤ちゃんが安全に食べられる食材を選ぶことが大切です。
食材は、果物や柔らかく茹でた野菜、アボカド、バナナ、お肉、チーズ、パン、おにぎり、パスタなど。
手でつかみやすいスティック状にカットし、赤ちゃんの口に入りすぎない大きさを意識しましょう。
また、BLWでは赤ちゃんが好きな物を食べるため、栄養バランスが偏ってしまうことがあります。
赤ちゃんがバランスのとれた食事ができるように、様々な食材を提供してみましょう。
色々な種類の野菜、果物、たんぱく質、炭水化物を組み合わせて、必要な栄養がとれるように工夫します。
栄養の偏りや成長が気になる場合は、栄養士や小児科医に相談することもおすすめです。
(3)月齢別のおすすめ食材と硬さの目安

6〜8か月頃:やわらかくゆでたにんじん、かぼちゃ、じゃがいも
9〜11か月頃:手づかみしやすいおにぎり、卵焼き、やわらかい魚
1歳以降:噛む練習を兼ねて、少しずつ硬さをアップ
はじめは、舌と歯ぐきで簡単に潰せる程度の硬さが目安となります。
柔らかすぎると赤ちゃんは力加減が分からず、握りつぶしてしまうので注意が必要です。
また、生後6ヶ月ごろの赤ちゃんは握りこぶしを広げることができません。
握ったこぶしからはみ出るサイズを意識して食材をカットするようにしましょう。
(4)赤ちゃんをサポートする時のポイント

これはBLW離乳食に限らず通常の離乳食でも言えることですが、必要に応じて赤ちゃんをサポートしてあげられるように、見守ってあげてください。
ママ・パパが離乳食の時期をお子さんと一緒に楽しむことも大切なため、親子で食事を楽しみつつも、赤ちゃんが食べ物を噛んだり飲み込んだりする様子をよく観察し、窒息のリスクを最小限に抑えるようにしましょう。
5.体験談:実際にBLWを取り入れて感じたこと

これまで、BLWのメリット・デメリットや実践方法をご紹介してきましたが、私が実際にBLWを実践してみて感じたことをお伝えします。
私が感じたメリットやBLWをしなければ気づけなかったわが子の変化もありましたので、これからBLWをしようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
離乳食づくりがラクになった実感

私自身、BLWを取り入れてみて一番感じたのは「とにかく子どもとの食事がラクになった」ということです。
特別に子ども用の離乳食を分けて作らなくてもよくなり、家族の食事から取り分けて出せるようになったので、調理や準備の負担が一気に減りました。
それまで「何を食べさせよう…」と悩んでいた時間も減り、気持ちの余裕が生まれました。
“食べさせなきゃ”から“食べる時間を一緒に楽しもう”に変わったことで、私自身も食卓の時間を心から楽しめるようになったと思います。
汚れ対策としては、SAMOEの防水タイプのロングエプロンや、食べこぼし対策用のマットを使うことでストレスもほとんど感じませんでした。
「食べるのが好き」になったわが子の変化

BLWを続けていて感じたのは、子どもがどんどん「食べることを楽しむようになった」ことです。
自分の手で食べ物を掴み、好きなように食べるうちに、手先もどんどん器用になっていきました。
「自分でできた!」という達成感があるのか、食事の時間を心から楽しんでいる様子が見えて、私まで嬉しくなりました。
食べ物に興味を持ち、自分のペースで口に運ぶ姿を見ていると、“食べる力”そのものを育てているんだなと感じます。
BLWはたしかにテーブルや床が汚れやすいですが、エプロンや育児グッズをうまく活用すれば大きな負担にはなりません。
むしろ「汚れても大丈夫」と心に余裕が持てることで、子どもと一緒に食事を楽しめる時間が増えました。
6.まとめ|赤ちゃんと一緒に楽しく食事時間を過ごそう

BLWのメリット・デメリット、実践方法についてご紹介しました。
BLWは、赤ちゃんが自分で食べる力を育てる楽しい方法です。
赤ちゃんの手先の器用さが向上したり、食事への興味がわくというメリットがあります。
一方で窒息のリスクや片付けの手間などのデメリットもありますので、しっかり準備して実践してみてくださいね。
ちなみに、余談ですが・・・
数年前まではこのBLW離乳食という方法は世間一般的にはまだ知られておらず、私自身も知りませんでした。
我が家ではおかゆをすり鉢でペースト状にしたり、野菜を細かく切ってさらになめらかにしたり…と離乳食を用意するのがとても大変で、
赤ちゃんは満腹中枢が未発達のため、食べるだけ与えていたら小児科の先生に「あげすぎです!」と叱られたこともあります。
BLWはこの満腹中枢も育まれる、とても良い方法だと思います。
赤ちゃんの自主性を育むBLW。みんなで一緒に楽しく食事をとることで、家族の時間が充実したものになると良いですね!
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