BLW(Baby-Led Weaning、赤ちゃん主導の離乳食)は、赤ちゃんが自分で食べ物を手に取り、食べる楽しさを学ぶ新しい離乳食の方法です。
SNSなどでBLW離乳食の様子を見て、ほんの7ヶ月の赤ちゃんが自分で上手に口を運ぶ様子を見て、気になっているお母さんも多いのではないでしょうか。
私は普段助産師として、離乳食の相談を良く受けるのですが、その中で「BLW離乳食に興味はあるけど、窒息が心配」という声を多く聞きます。
BLW離乳食は、赤ちゃんの口の発達を促し、自分で食べたいという意欲を育む方法です。
この記事では、BLW離乳食に興味はあるけれど不安を感じているお母さんに向けて、安心して始めるためのポイントを紹介します。
目次
①BLW離乳食と従来の離乳食
そもそも、BLW離乳食とは何でしょう?
従来の離乳食と何が違うのでしょうか。
ここでは、BLW離乳食と従来の離乳食について紹介します。
・BLW離乳食とは?
BLWはBaby-Led Weaning(ベイビー・レッド・ウィーニング)の略でイギリスの保健師であり助産師でもあるGill Rapley氏によって提唱されました。現在では20か国以上の国でお母さん達から愛されています。
BLW離乳食は赤ちゃんが自分で食べる、赤ちゃん主導の離乳食です。
【BLW離乳食の主な特徴】
・食べる方法(手づかみ、スプーンなど)は赤ちゃんが選びます。
・食べる量、ペース、順番は赤ちゃんが決めて食べます。
・食べる回数は大人とおなじでOK です。
・食べ物の形状、柔らかさは赤ちゃんの発達に合わせます。
・食事のスタートは赤ちゃんが決めます。
・赤ちゃんが見つめる先は食べ物です。
・従来の離乳食とは?
従来の離乳食は、10倍がゆからスタートし、徐々に固形へならしていく方法です。
親がスプーンで食べさせる親主導の離乳食です。
【従来の離乳食の主な特徴】
・親がスプーンで与えます。
・食べる量・ペース・順番は親が決めて食べさせます。
・食べる回数は1回食からはじめます。
・ピューレ状からはじめます。
・食事のスタートは親が決めます。
・赤ちゃんが見つめる先は親です。
以上のように、BLWが赤ちゃん主導、従来の離乳食が親主導という点が大きく違うことがわかります。
私は母子栄養協会で離乳食アドバイザーを取得しておりますが、
母子栄養協会ではBLWと従来の離乳食について、以下のように説明しています。
従来の離乳食もBLW離乳食も
・何をいつから、どの食材を何gとは決めていない
(あくまでも多め?少なめ?と判断するための目安値)
・家族などと食卓を囲んで一緒に食べることが大切
・手づかみなど赤ちゃんの食欲をひきだしてあげることが大切
と記事で説明しており、どちらも根本的な考えは変わらないことがわかります。
従来の離乳食を赤ちゃん主導で行うことがBLW
と捉えると、BLWを抵抗なくはじめられそうですね。
*母子栄養協会の詳しい記事はこちらをご覧ください。
↓↓↓
②BLW離乳食の不安を解消しよう
この間までミルクや母乳だけで育ってきた赤ちゃんが食べ始めるときは、どんな方法であっても心配になりますよね?
BLW離乳食は、はじめから赤ちゃん主導のため心配も大きいと思います。
ここでは、BLW離乳食でお母さんが心配になるポイントについて、解説していきます。
・窒息のリスク
BLW離乳食をはじめる上で、これが一番の不安要素ですが、赤ちゃんの発達に合わせた適切な大きさや柔らかさの食べ物を提供すれば、窒息のリスクは最小限に抑えられます。
以下に注意が必要な食べ物の例をご紹介します。
*窒息しやすい食べ物(例)
・小さくて硬い物→ナッツ、豆類(枝豆など)、生のくだもの(リンゴ、なしなど)
・丸くて小さい物→ミニトマト、ぶどう、さくらんぼ、キャンディチーズなど
*与えるときは1/4にカットしてあげましょう。
・喉に張りつきやすい物→パン、のりなど
ナッツやぶどう、ミニトマトなど、小さく硬い食べ物を与えるときは注意が必要です。
赤ちゃんの発達に合わせた食材を選ぶようにしましょう。
・窒息しない食材の選び方はこちらの記事を参考にしてください。
↓↓↓
日本小児科学会:https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20231210chissoku.pdf
・栄養面での心配
赤ちゃんがどれくらい食べるかは親にとって不安ですよね?
「栄養が足りているのかしら?」
「うちの子、全然食べてくれないんです」
といった悩みはBLWに限った悩みではなく、従来の離乳食でも聞かれる悩みです。
離乳食を開始してしばらくは、まだミルクや母乳からの栄養がほとんどですので、
はじめはたくさん食べられなくても心配いりません。
お子さんのペースに合わせて少しづつ食べられるようになるといいですね。
*このような、栄養のほとんどは母乳やミルクでとり、離乳食で足りない栄養を補うことを
WHOでは「補完食」として説明しています。
「補完食」に関しては、こちらを参考にしてください
↓↓↓
生後6〜23か月の乳幼児の補完栄養に関するWHOガイドライン
・汚れ対策
BLWを実践してみたいけれど、テーブルや床が散らかって大変そうという声もあります。
本当にBLW離乳食は従来の離乳食より汚れるのでしょうか?
これは、3人の子供を育ててきた私の経験ですが、
上の子は、従来の離乳食を形式通りに、
下の子は、BLWと同じで早い時期から親がサポートすることをやめて、自由に食べてもらいました。
どの子供も、汚れる時期に違いはありましたが、汚れないことはありませんでした。
ただ、下の子の方が上の子より汚れから解放されたのが早かったな、という印象があり、
自分で食べていたことで、結果的にきれいに食べられるようになったのだと思います。
私の場合は、赤ちゃんが食事を練習するために、「ある程度汚れることは必要なこと」と割り切ったことで、心が軽くなりました。
どうせ汚れるなら、片付けがしやすいように工夫をしてみるのはいかがでしょうか。
例えば、防水マットや大きめのエプロンを使用することで、片付けの負担を軽くすることができます。
汚れを気にされるお母さんにとっても、汚れを気にせず食べられる商品がありますので参考にしてみてくださいね。
・BLW離乳食にオススメの汚れ対策グッズはこちらを参考にしてください。
↓↓↓
ママが喜ぶ時短育児グッズ&ギフト【SAMOE】公式オンラインショップ
・離乳食の食べこぼし対策はこちらの記事を参考にしてください。
↓↓↓
③BLWを安全に始めるためのポイント
BLWで一番心配なことは窒息ですよね。
以下では、BLWを安全に始めるためのポイントをご紹介していきます。
・赤ちゃんの発達の状況を確認する
6か月頃になり、首がしっかりすわっていて、食べ物に興味を示すようになったら、BLWを始める適切な時期です。
赤ちゃんの発達の準備も整っていないままはじめると、飲みこむ力がついていないために、
窒息のリスクを高めてしまったり、食事をとることができなくなります。
・食べ物の大きさや柔らかさに注意する
最初はつかみやすく長細い、赤ちゃんの手のひらサイズで、簡単に指で潰せるくらい柔らかい食べ物(例:蒸した野菜、熟した果物)から始めると良いです。
(食材の選び方の例)
・にんじん、じゃがいも、さつまいも、ズッキーニ、カボチャのスティック
・カリフラワー、ブロッコリーの小房
・アボカド
・洋梨、バナナ、桃などのやわらかい果物
・一口おにぎり
・パン、トースト
・オムレツ
・ゆでて割いたお肉、細切りにしたお肉、手作りハンバーグ
・魚の切り身
硬い食材は柔らかく加熱調理をして、赤ちゃんがつかみやすい形に簡単にカットできる
お母さんの準備しやすい食品から始めましょう。
・食事中は常に見守る
赤ちゃんが食べている間は、必ず大人がそばで見守り、
正しく食べることができているかの観察をします。
少しでも形状や、大きさが合っていなければ、
その場で小さくしたり、形を変えてみたり等工夫することも必要かもしれません。
・時期を遅らせてみる
はじめからBLWにこだわる必要はありません。
お母さんが大丈夫!と思ったタイミングではじめていいんです。
はじめは従来の離乳食のやり方で、赤ちゃんが手づかみ食をはじめたらBLWで、
などお子様とお母さんに合った方法でとりいれてみましょう。
④BLWのはじめ方
では、いざBLW離乳食をはじめたい!と思ったとき、やり方がわからないと困ってしまいます。
BLWの方法を以下にご紹介します。
①赤ちゃんが自分で食べ物をとれるようにします。
→赤ちゃんが自分で手に取れるように、前に置くか、お母さんの手から自分でとるようにしましょう。
②つかみやすい物から始めましょう。
→太めで長いスティックがはじめのうちはつかみやすいでしょう。
③親子で同じ物を食べましょう。
→親が食べている様子を見て、赤ちゃんは食べ方を学んだり、食べ物だと認識することができます。できるだけ同じものを食べて、食べ方を見せてあげましょう。
④赤ちゃんが機嫌がいいときに始めましょう。
→赤ちゃんが疲れているとき、空腹の時は食事に集中できないこともあります。赤ちゃんが集中できる機嫌のいいときに始めましょう。
⑤赤ちゃんが食べるのを見守りましょう。
→はじめは、赤ちゃんが上手に食べられているかを確認してください。
より詳しい方法は、こちらを参考にしてください。
↓↓↓
BLW協会:https://babyledweaning.or.jp/about_blw/ – acc-89ea704-0
⑤BLWのメリット
BLWは従来の離乳食と比べて、どんな効果があるのでしょうか。
以下にBLWのメリットをご紹介します。
・自立を促す
赤ちゃんが自分で食べ物を選び、手で食べることで、自信を持ち、食べることに対して積極的になります。
・運動機能を発達させる
手でつかむ動作が、手先の運動能力を高めます。手を使って食べるので脳の発達、良く噛むので、お口の発達を促します。
・家族との食事の時間を共有できる
赤ちゃんも家族と一緒に食卓で食事を楽しめるので、食育になります。
・ママの負担が軽くなる
食材をすりつぶして与える必要がなく、家族が食べている食事から取り分けることも可能です。
また、赤ちゃんが自分の意志で食べるため、ママが横について一口ずつ食べ物を口へ運んで食べさせる必要もありません。
BLWを取り入れることで、赤ちゃんの発育を促したり、楽しい食事体験になることが期待できますね。
まとめ
基本的にBLWも従来の離乳食も基本的には同じ離乳食で、食に関する考え方は同じです。
BLWで聞かれる悩みは、従来の離乳食で聞かれる悩みと同じです。
BLWのいい点を取り入れながら、あなたなりの離乳食をすすめていけば、
BLWは怖くなくなるかもしれませんね。
形式にとらわれず、大人も子供も楽しく食事がとれるのが一番です。
これから長く続く家族との食事を楽しめるように、この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
ライター:みく(助産師、母子栄養協会認定離乳食アドバイザー)
大学生・高校生・中学生の3人の子供を持つ母
ワンオペ育児・思春期の反抗期を経験し、現在は穏やかな毎日を送る。
子育てはつらく苦しいだけじゃない、楽しく幸せな気持ちにさせてくれるもの
多くのママに子育ての楽しさを伝えたい
そんな思いで、助産師ライターとして活動中♪