赤ちゃんの離乳食について、実際にはじめてみたはいいものの、

「飲み込めない」「むせる」「少ししか食べない」などの理由で一向に離乳食がすすまず

悩む方も多いのではないでしょうか。

私は助産師として子育て支援に携わっていますが、

「離乳食」がハードルになっている産後のお母さんが多いな、という印象があります。

じつは、そんな離乳食が進まない原因に赤ちゃんのお口の発達が関係していることをご存じでしょうか。

今回の記事では、離乳食でつまづかないように、赤ちゃんのお口の発達をサポートする方法についてご紹介します。

1. 赤ちゃんの「お口育て」をしよう

「お口育て」とは、赤ちゃんの口の筋肉や、噛む力、飲み込む力を発達させることです。

口の発達は、赤ちゃんが言葉を覚える準備や、将来的な歯並びにも影響します。

赤ちゃんが初めて食べ物を口にする瞬間や母乳を飲む動作は、栄養補給だけではなく、お口の筋肉やかんだり、飲んだりする機能を育てる重要なステップとなります。

お口の機能の発達が離乳食をすすめていくために、とても大切なことがわかります。

↓↓↓

日本歯科衛生士会 | 赤ちゃん・子どものお口の発達支援ガイド (jdha.or.jp)https://www.jdha.or.jp/pdf/outline/hattatsushienguide_20240628-5.pdf

2. 授乳からはじまる「お口育て」

授乳は、赤ちゃんの口の発達に欠かせないプロセスです。母乳や哺乳瓶を飲む動作は、赤ちゃんの口や舌、頬、あごの筋肉を鍛え、口全体のバランスを整えます。

ここでは、母乳や哺乳瓶で授乳する場合の「お口育て」の方法についてご紹介していきます。

母乳には「お口育て」をしやすい条件がそろっています。

下記に、母乳を飲む動きがお口の発達にどのように関わっているかをご紹介します。

〈母乳を飲むときのお口の発達への影響〉

飲む力のトレーニング:赤ちゃんは舌やあごを使って母乳を飲みます。母乳を飲む時間は長い子で1回30分ほど。お口を動かす時間が長い分、舌や顎の口周りの筋肉の発達を促します。

噛む力、言葉を発する力を養う:母乳を飲む時、舌は上下左右に大きく動きます。この動きが、後の噛む力や言葉を発するための基礎となります。

母乳をあげているだけで自然と「お口育て」ができてしまうことがわかりますね。

また、母乳は赤ちゃんのほしいときに、赤ちゃん自身で飲む量を決める、ことができます。

赤ちゃん主導の授乳になるので、後に離乳食を食べる時(手づかみ食べ)につながります。

哺乳瓶は大人が用意して、大人が与えます。

大人が主導になりやすく、飲ませ方によってお口の発達に影響していきます。

赤ちゃん主導となるように与え方のコツをご紹介します。

〈与え方のコツ〉

・哺乳瓶を飲むときに隙間ができないように、お口に密着して飲ませるようにしましょう。

・赤ちゃんがほしがるとき、赤ちゃんのお口があいた瞬間に哺乳瓶を舌にそわせて、赤ちゃん自身で飲めるようにします。飲む量や、飲むスピードは赤ちゃんに任せます

・なるべく、大きな口で、顎を使って飲ませます

この方法で、赤ちゃん主導の授乳にすることができ、お口の動きを促すことができますよ。

授乳により、お口の発達が整い、いよいよ離乳食にすすんでいきます。

母乳や哺乳瓶で赤ちゃん主導の授乳を行いながら、離乳食を始めていきましょう。

3. 離乳食と「お口育て」

離乳食は、赤ちゃんが母乳やミルク以外の食べ物に慣れるだけでなく、噛む力や飲み込む力を育てる重要なステップです。

初めての離乳食では、赤ちゃんの口の発達を意識した食材選びがポイントとなります。

↓↓↓

【助産師監修】離乳食の始め方と進め方完全ガイド – SAMOE(サモエ)食べこぼし用お食事エプロン専門shop

噛む力を育てる食材の選び方

離乳食初期:やわらかくてつぶしやすい食材からスタートします。

例えば、かぼちゃやさつまいもなどのやわらかく調理した野菜が良いでしょう。

徐々に形状を変える:最初はスプーンで与えるつぶし野菜やおかゆなどを使い、次第に手でつかんで食べられる形状のもの(スティック状の蒸し野菜ややわらかく調理した果物)へと変えていきます。

噛む力を促す手づかみ食べ

赤ちゃんが自分で食べ物をつかみ、口に運ぶことで自然に噛む力を使います(赤ちゃん主導)

この「噛む」という動作は、口全体の筋肉を鍛え、歯や顎の成長にも影響し、

食べ物の大きさや硬さを少しずつ変えることで、噛む力を促すことができます。

噛む力と飲み込む力を育てる手づかみ食べ

赤ちゃんが自分で食べ物を掴み、噛んだり飲み込んだりすることで、口周りの筋肉を鍛えることができます。

手づかみ食べを赤ちゃんの発達に合わせて取り入れてみてください。

・赤ちゃんが食べ物を手で掴み、口に運ぶことで、手と口の連動が発達します。

・初めての食べ物はやわらかくて握りやすいものを選びましょう

(例:にんじんスティック、バナナ)。

*ちなみに、赤ちゃん主導手づかみ食べ、という観点から「BLW離乳食」というものがあります。

海外では主流になっており、日本でも取り入れる方が多くなってきています。

「お口育て」にぜひ、参考にしてみてください。

↓↓↓

赤ちゃんが自分で食べる離乳食「BLW」のメリット・デメリットと実践のコツ – SAMOE(サモエ)食べこぼし用お食事エプロン専門shop

blwとは | 一般社団法人 日本BLW協会

4. 「お口育て」をサポートする離乳食の進め方

赤ちゃんの口の発達を意識した離乳食の進め方を以下に紹介します。

  • 食材選び:にんじん、かぼちゃ、さつまいもなど、やわらかくてつぶしやすい食材を選びます。
  • 舌の発達を促す:スプーンを使い、舌を使って食べ物を飲み込む練習をさせましょう。舌の動きが、次のステージでの噛む動作につながります。
  • 食材の形状を変える:少し硬めの食材を与え、赤ちゃんが歯茎を使って食べ物を噛みつぶす経験を増やします。例えば、やわらかく調理したブロッコリーのスティックなどが最適です。
  • 手づかみ食べを促す:バナナくらいの固さの食べ物を食べられるようになったら、手づかみ食べをはじめましょう。赤ちゃんが自分で手で食べ物を掴み、口に運ぶことで、口と手の協調性を育て、噛む力を高めます。
  • しっかり噛む力を育てる:硬さのある食材(蒸した肉や魚、パンなど)を与えて、しっかり噛む練習をします。この時期には、食事の中で自然に噛む力が鍛えられます。
  • 飲み込みの練習:口の中で食べ物を動かし、しっかり飲み込む動作ができるようにサポートしましょう。

5. 安全面での注意点

赤ちゃんのお口の機能をサポートする手づかみ食。

ですが、「つめこみすぎないかしら」と、窒息の心配がありますよね?

食べ物を詰まらせないよう、以下の点に注意してみてください。

安全な食べ物の選び方

手づかみ食の時の食べ物の選び方は下記を参考にしてください。

・硬すぎる、小さすぎる食べ物を避ける。

・赤ちゃんが握りやすいサイズ(1×4cmくらいの棒状か小判型)にする。

・柔らかい食感にする。

赤ちゃんが食べやすいように、固さやサイズを調整して、

以下に注意が必要な食べ物の例を紹介します。

窒息しやすい食べ物(例)

小さくて硬い物→ナッツ、豆類(枝豆など)、生のくだもの(リンゴ、なしなど)  

丸くて小さい物→ミニトマト、ぶどう、さくらんぼ、キャンディチーズなど

喉に張りつきやすい物→パン、のりなど

日本小児科学会〜食品による窒息 子どもを守るためにできること〜

食事中の見守り

赤ちゃんの食事中は窒息しないような関わりが大切です。

赤ちゃんが飲みこみやすいよう、足がつく安全な椅子に座らせてください。

食事中は大人が常にそばで見守りましょう。

赤ちゃんが無理に食べ物を飲み込まないよう気をつけましょう。

赤ちゃんが食事中に立ったり、歩いたりしないようにしましょう。

赤ちゃんが食事に集中できるように、テレビは消し、おもちゃなども片付けておきましょう。

以上のように、安全に気をつけながら、「お口育て」していくといいですね。

6.まとめ:楽しく「お口育て」を進めるために

赤ちゃんの「お口育て」は、授乳や離乳食を通じて自然に進んでいくものです。

焦らず、赤ちゃんが自分のペースで食べ物を楽しむことが大切です。

手づかみ食べは、お口育てに効果的ですが、汚れが気になります。

私の子供は、食事の時にレジャーシートを下にひいて、さっと拭ける大きめのエプロンを用意し

食事をさせていました。

楽しい食事を、親が気にしすぎて楽しさを邪魔しないように配慮したいですね。

私の時はありませんでしたが、

現在は、食べこぼしの後片付けの負担を短縮する商品もありますので、参考にしてみてください。

↓↓↓

SAMOE お食事エプロン

楽しい食事時間を通して、赤ちゃんの口の発達をしっかりサポートし、将来の健やかな成長に繋げていきましょう。

ライター:みく(助産師、離乳食アドバイザー)

大学生・高校生・中学生の3人の子供を持つ母
ワンオペ育児・思春期の反抗期を経験し、現在は穏やかな毎日を送る。

子育てはつらく苦しいだけじゃない、楽しく幸せな気持ちにさせてくれるもの
多くのママに子育ての楽しさを伝えたい
そんな思いで、助産師ライターとして活動中♪