前回は、離乳食に「だし」を取り入れるメリットをご紹介しました。でもイチから「だし」をとるなんて、「難しそうだし面倒…」と思う人が多いと思います。

今回はだしパックを使わなくても簡単にとれる「だし」のとり方を、だしソムリエである筆者がお伝えします。

「だし」というと、お鍋に火をかけて、温度管理をしながらじっと待っていなければいけない、というイメージがあるかもしれません。
実際、料亭などではそのようにきちんと「だし」をとっています。

ですが、家庭料理で使うなら、もっと簡単に「だし」がとれるんです。

そこで、一番簡単な方法が水出しです。「だし」素材を水に浸して冷蔵庫で一晩!たったこれだけ。

想像より気軽にできる気がしませんか?

ここではよく使う「だし」素材から「だし」をとる方法を詳しく見ていきたいと思います。

(1)昆布だし

一番手軽な昆布だし。昆布は種類がたくさんありますが、一番扱いやすいのは日高昆布です。

スーパーでよく見かける昆布で、安価に手に入ります。また食べても柔らかいため、だし殻で料理を作る際も、作りやすく食べやすいのが特徴です。

昆布にはホコリや小さいエビなどが付着している場合があるので、特に離乳食期には表面を乾拭きするといいでしょう。

かたく絞ったキッチンペーパーやふきんでさっと拭くだけで大丈夫です。

ただし、表面についている白いものはうま味成分なので、きれいに拭き取ったり洗い流したりする必要はありません。


【材料】
水1ℓ
昆布20~30g

【作り方】
・水出し法
一番簡単な方法になります。前日の夜に水に浸しておくだけ!忙しい時でも手軽に用意ができますよ。

①ボウルやタッパーに水を入れて昆布を浸す
②冷蔵庫で一晩おく
③昆布を取り出し、加熱する

・煮出し法
前日に昆布を浸し忘れた場合や、急に昆布だしを取りたくなった時は煮出し法でも簡単に昆布だしをとれます。

ただし、沸騰させると粘り気と雑味が増えるため注意が必要です。

①鍋に水を入れて昆布を浸す
②しばらくしてから中火にかける
③昆布の淵から気泡が出たら(約70℃)昆布を取り出す

(2)かつおだし

香り豊かなかつお節。こちらも種類があります。

スーパーで見かける花かつおはかつお節の薄削りというものです。手頃なお値段ですし、扱いやすいかつお節です。

さて、かつおだしについては、水出し法はオススメしません。だし自体は取れるのですが、かつお節の香りが立つのはやはり煮出し法。

ということで、今回は煮出し法についてご紹介します。

【材料】
水1ℓ
かつお節などの削り節20~30g

【作り方】
・薄削りの煮出し法
かつお節でも、それ以外の節でも、薄削りの場合にはこの方法でだしを取ります。いわし、サバなど、かつお以外の場合は、少し煮出した方が良いです。

①鍋に水を入れて火にかけ、85℃くらいで削り節を入れる
②火を止めて2分ほどおく
混ぜずに、かつお節が自然と沈むのを待ちましょう
③キッチンペーパーなどを敷いたザルでゆっくりと漉す
※もったいなくて絞りたくなるかもしれませんが、えぐみが出るので絞りません

(3)煮干しだし

煮干しだしは、下準備が少し大変ですが、昆布だしと一緒で水出し法ができるので、その点は手軽にできるかと思います。

大人だと、下準備の際に頭とはらわたを取り除かなくても大丈夫!という方もいらっしゃるかもしれませんが、離乳食では取り除いた方が、臭みが減るので、食べやすいでしょう。

また頭とはらわたを取っても魚臭さが気になる方は、骨まで取るとかなり臭みが抑えられます。

【材料】
水1ℓ
煮干し20~30g

【作り方】
・水出し法
①ボウルやタッパーに水を入れ、煮干しを浸す
②冷蔵庫で一晩おく
③煮干しを取り出し、加熱する

・煮出し法
①鍋に水を入れて煮干しを浸す
②しばらくしてから中火にかける
③5分程煮出して火を止め、キッチンペーパーなどを敷いたザルで漉す

使っただし殻をそのまま捨てていらっしゃる方も多いと思いますが、だし殻は活用できるので、捨てるなんてもったいないですよ。

「だし」をとるだけで面倒なのに、毎回だし殻まで料理するなんて…という方は、冷凍保存しておいて、まとめて作るのがおすすめですよ。

(1)昆布のだし殻

昆布の種類によっては、離乳食期に食べるには硬すぎる場合がありますので、大人の副菜にしましょう。

■昆布の佃煮

【材料】※作りやすい分量で大丈夫です
・昆布のだし殻 … 100g
A 酒      … 小さじ2
A 醤油     … 50ml
A みりん    … 小さじ2
A 砂糖     … 小さじ2

【作り方】
①2~3cm角に昆布を切る
②鍋に昆布を入れ、Aの調味料を入れて混ぜ合わせ、それから火にかける
③煮汁が沸いてきたら弱火にし、2~30分ほど煮汁が少なくなるまで煮る

(2)かつお節のだし殻

かつお節は、薄削りの場合は離乳食でも使っていただけます

■かつお節のふりかけ

【材料】※作りやすい分量で大丈夫です
・かつお節のだし殻 … 50g
・白ごま      … 適量
A 酒        … 大さじ1と1/2
A 醤油       … 大さじ2
A みりん      … 大さじ1
A 砂糖       … 大さじ2

【作り方】
①鰹節は水気を切って、乾燥させておく
②①をみじん切りにする
③フライパンにかつお節を入れ、乾煎りし、さらに水分をとばす
④③にAを入れ、水分がなくなるまで炒める
⑤白ごまを加えて完成

(3)煮干しのだし殻

煮干しは骨などの硬い部分がありますので、離乳食期に食べるのは控えた方がいいでしょう。大人の副菜にしてみてくださいね。

■煮干しのなんちゃってバーニャカウダ

【材料】※作りやすい分量で大丈夫です
・煮干しのだし殻 … 20g
・にんにく    … 1片
・玉ねぎ     … 1/4個
A オリーブオイル … 大さじ4
A 塩       … 少々

【作り方】
①煮干しのだし殻と玉ねぎをみじん切りにする
②にんにくみじん切りにし、オリーブオイルで炒める
③②に①を加え、玉ねぎが透明になったら、火を消して冷ます
④フードプロセッサでペースト状にする
⑤塩少々を加えて味を調える

ここでは、「だし」を使った離乳食期におすすめのレシピをご紹介します。

(1)昆布だし

昆布だしは、離乳食初期から使っていただけます。

母乳のうま味成分とほぼ同じうま味成分がありますので、ご飯やお野菜を食べてくれない!という時に、昆布だしで炊くと食べてくれる場合があります

パサパサして食べにくい卵黄や、おやきをのばす時に使ってもいいですね。

◼︎だしがゆ(10倍がゆの分量)
・米 10cc
・だし 100cc

おかゆを作る時、水の代わりに昆布だしを使うだけ! 分量は使いやすい分量で大丈夫です。

多く作っておいて、冷凍しておいてもいいですね。

(2)かつおだし

かつお節は、離乳食中期頃から使っていただけます。

イノシン酸といううま味成分が含まれていますが、これはお肉やお魚のうま味成分と同じです。

グルタミン酸が含まれている昆布とかつお節をあわせることで、うま味成分が7倍にもなると言われており、よりうま味を感じることができます。

お野菜は昆布と同じグルタミン酸のうまみ成分があるので、かつおだしでお野菜を煮てもいいですね。

■かつおだしのうどん

【材料】
・うどん
・かつおだし

【作り方】
①うどんは表記通り茹でる、またはレンジで加熱する
②①をザルにあげ、流水で冷ます
③器に入れ、食べやすい大きさに切る
④かつおだしを適量入れる

■かぼちゃ煮

【材料】
・かぼちゃ  … 300g
・かつおだし … 1カップ
・醤油    … 大さじ1

【作り方】
①かぼちゃの種と皮を取り除き、4~5cm角に切る
②鍋にかつおだしとかぼちゃを入れる
③かぼちゃに火が通り、柔らかくなったら、赤ちゃんの分だけ取り分ける
④取り分けたかぼちゃを、月齢に合わせてつぶす
⑤大人の分を、醤油で味付けする

(3)煮干しだし

煮干しは、青魚を試した後に使ってみましょう。
水出し法でもできると前述しましたが、水ではなくトマトジュースに浸しておくのもオススメ。

トマトのグルタミン酸と、煮干しのイノシン酸が合わさって、何倍ものうま味を感じることができます。

◼︎煮干しだしのミネストローネ

【材料】
・玉ねぎ     … 1個
・にんじん    … 1/2個
・じゃがいも   … 1個
・トマトジュース … 500ml
 ※食塩無添加のもの
・煮干し     … 15g
・コンソメ    … 小さじ2

【作り方】
①トマトジュースに煮干しを一晩浸しておく
②①の煮干しを取り出し、トマトジュースだけを鍋に移す
③玉ねぎとじゃがいもは1cm程度の角切りにする
④にんじんは1~2cmの輪切りにする
 ※にんじんは細かく切ってから茹でると、かたくなってしまいます。
⑤③と④をレンジで5分程度レンジで加熱する
⑥にんじんが柔らかくなったことを確認し、1cm程度の角切りにする
⑦トマトジュースが入った鍋に玉ねぎ、にんじん、じゃがいもを入れて沸騰させる
⑧ここで赤ちゃんの分を取り分ける
⑨大人の分は、コンソメで味を調える

ここまで簡単なだしのとり方をお伝えしましたが、「それでも面倒」と思われる方も多いと思います。

ここからは手軽に使える離乳食期にオススメのだしパックをご紹介します。

だしパックには添加物が入っていることがあります。無添加と商品に書かれていても塩や醤油が添加されている場合がありますので、商品の裏ラベルを確認してみましょう。

また、複数のだし素材が入っていることが多いので、赤ちゃんの離乳食の進み具合を見て選んでみましょう。

だしパックの中身を捨てずに使う場合、固い部分が含まれていることもあります。なので、指示がある場合はメーカーの指示に従い、不安な場合は1歳を過ぎてからが良いでしょう。

(1)せいきょう だしパック

生協オリジナル商品として長く愛されているだしパックです。原材料は煮干し、かつお節、しいたけ、昆布だけ。

こちらは煮干しが入っているため、中期以降に使用することをオススメします。

せいきょうだしパック|ほこフレ! (coopaichi-hocofure.jp)

(2)津乃鶴 離乳食だし

津乃鶴は、だしソムリエであるはんにゃの川島さんが代表をされている会社です。ここでは、 「離乳食だし」というだしパックを販売しています。

国産の天然素材を使用しており、無添加となっています。原材料はかつおの本枯節と荒節、真昆布、椎茸です。

また、パックの中身も使用できるとの記載があります。「だし」を取った後に、炒め物に加えたりハンバーグの生地にねりこんだり、無駄なく使えますよ。


離乳食だし | 津乃鶴(つのつる) (tsunotsuru.jp)

(3)マルトモ はじめてのだしパック

原材料は国産かつおと北海道産昆布だけ。さらに離乳食用に設定した基準値を合格した鰹節原料のみを使用しています。

1週間で使い切りやすい量に設計されていることが特徴です。1パックで取れる量が製氷皿1杯分と、フリージングに適した量となっています。

だし殻も活用できるので、ぜひ捨てずに使ってくださいね。


はじめてのだしパック|マルトモ公式直販 (marutomo-shop.jp)

いかがでしたでしょうか。

「だし」をとることへのハードルが、少しは下がったでしょうか。もちろん、離乳食を問題なく進めている場合は、「だし」を使う必要はありません。

食べてくれないなどのお悩みがある場合については、ひとつの手段として、ぜひ試してみてくださいね。

ライター:AZUMI

第一子出産を機に離乳食アドバイザー、幼児食アドバイザーの資格を取得。
だしソムリエの資格を持っていたことから、離乳食とだしの関係に興味を持ち、
離乳食おだしインストラクターの資格を取得。

親が笑顔だったら子どももハッピー!をモットーに子育てをしています★
現在は仕事をしながら、子育て中の食事に関する悩みを持つ方々の相談会を実施しています。