なかなか順調にいかない離乳食。
多くのパパママを悩ませるのは赤ちゃんが食べてくれないことではないでしょうか。
この記事では離乳食を食べない赤ちゃんにぜひ試してほしい「だし」と、その理由をだしソムリエである筆者がお伝えします。
目次
1.「だし」とは
最近では、顆粒だしだけでなく、だし調味料やだしパックなど、さまざまな「だし関連商品」を見かけます。
この記事でいう「だし」は素材からの「だし」のことで、昆布やかつお節、煮干しなどからとれる「だし」のことを言います。
「だし」には本来味がついていません。
なのに、なぜ「だし」を使うと美味しいと感じるのでしょうか?
それは、昆布やかつお節、煮干しなどに含まれるうま味成分が、料理自体を美味しくしてくれるからです。
そのため、「だし」は調味料ではなく、あくまでも料理のベースになるものなんです。
2.「だし」を使うメリット
離乳食でなにも問題がない場合、「だし」を使う必要性はありません。
ですが、食べない子にはぜひ試してもらいたいおすすめの理由があります。
以下ではそのおすすめの理由をお伝えします。
(1)赤ちゃんの味覚が育つ
離乳食は、母乳やミルクだけでは不足してしまう栄養素を摂るだけでなく、
赤ちゃんの舌を育てるうえでも大切になります。
3歳頃までに土台ができると言われている味覚には、
甘味・塩味・うま味・酸味・苦味の5種類があります。
大人でも素材そのままの味では食べづらいことがありますが、これは赤ちゃんも同じです。
ですが、ここで調味料に頼りすぎてしまうと、
舌が味付けの濃い料理を好むようになり、生活習慣病になってしまうリスクがあります。
そこで、赤ちゃんに美味しいと感じてもらうために、
味覚のひとつである「うま味」を利用しましょう。
代表的なうま味成分は、昆布や野菜、チーズなどに含まれるグルタミン酸、かつお節や煮干しなどに含まれるイノシン酸、干ししいたけなどに含まれるグアニル酸があります。
特に離乳食期には調味料の使用を抑え、素材の味を生かして味覚を育てることで、健康な身体作りができます。
(2)赤ちゃんが安心する味
昆布に含まれるうま味成分の「グルタミン酸」は、
母乳に含まれているグルタミン酸の濃度とほとんど同じだと言われています。
そのため、赤ちゃんにとって慣れ親しんだ、安心する味になるのです。
引用元:食物とうま味物質 | 特定非営利活動法人 うま味インフォメーションセンター (umamiinfo.jp)
(3)未熟な身体にも優しい
顆粒だしやだしパックのように、手軽に美味しくできる商品がたくさんありますが、
使用する際には原材料名を見てみましょう。
特に顆粒だしには食塩が多く入っています。
また「無添加」とされるだしパックにも、
食塩が入っていることがあるため、注意が必要です。
素材から「だし」をとることで、赤ちゃんの身体に負担をかけることなく、美味しい料理を作ることができますよ。
(4)減塩になる
調味料を使うのは離乳食後期以降です。
また後期以降でも、塩分量は大人の半分以下に抑える必要があります。
赤ちゃんの臓器、特に腎臓の機能は未熟です。
なので、塩分を摂りすぎることで内臓に負担をかけてしまうのです。
さらに離乳食期が終わり、幼児食期になっても、塩分量はまだ大人の半分程度です。
私たち大人も日ごろから塩分を摂りすぎている傾向があります。
実際は目標値の約1.5倍もの食塩を摂っているとされています。※
生活習慣病を予防するためにも、大人も減塩することをオススメしていますが、
赤ちゃんや子どもはさらに減らさなくてはいけないと意識することが大切です。
とはいえ、単純に調味料を減らすと味気なかったり美味しくなかったりしますよね。
そこで活躍するのがうま味です。
うま味成分がたっぷりの「だし」を活用すれば、素材の味が引き立ち、風味が増すため、塩味が減ることによる物足りなさをカバーすることができますよ。
また「だし」には香りがあります。
かつお節で「だし」を取った時の香り・・・
なんとも食欲の増すいい香りだと思いませんか?
この香りも食事の満足感につながり、減塩効果があるんですよ。
※1日あたりの成人の塩分摂取量の目標値は男性で7.5グラム未満、女性は6.5グラム未満
引用元:私たちの栄養課題|健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
3.主な「だし」素材
「だし」はさまざまな素材からとれます。
ここでは、離乳食期に便利で扱いやすい「だし」素材についてお伝えします。
(1)昆布
昆布にはグルタミン酸という、うま味成分が含まれています。
前述したとおり、母乳に含まれているものと同じ濃度のため、赤ちゃんになじみのある味になります。
アレルギーの心配も少なく、手軽に使えるというメリットがあります。
スーパーで売っている日高昆布は値段も安く、
「だし」を取った後の素材も料理に使いやすいため、初心者の方でも扱いやすいものです。
お米やお野菜を炊く時のお水を昆布だしに変えるだけで、それまで食べなかった赤ちゃんが「食べてくれた!」ということはよくあるので、
ぜひ一度試してみてくださいね。
出し昆布・煮物用昆布:日高昆布 | 株式会社くらこん (kurakon.jp)
(2)かつお節
かつお節にはイノシン酸といううま味成分が含まれています。
これはお肉やお魚のうま味成分と同じです。
かつお節は香りが豊かになるため、オススメの「だし」です。
スーパーで手に入りやすく、扱いやすいのは、花かつおです。
煮出し時間も少なくて良いので、無理なく使えます。
さらに昆布とかつお節をあわせることで、
うま味成分が7倍にもなると言われており、よりうま味を感じることができますよ。
『徳一番®』花かつお 70g | 商品情報 | ヤマキ株式会社 (yamaki.co.jp)
(3)野菜
野菜には昆布ほどではないですが、グルタミン酸が含まれています。
レンジや炊飯器で野菜を煮炊きすることも多いとは思いますが、
野菜を茹でたゆで汁は、とても甘くて美味しい「だし」となります。
私はいろんな野菜を入れて30分以上煮込み、
野菜だけ取り出してブレンダーで離乳食にし、「だし」は取っておいてスープに使っていました。
洋風のお料理にとってもよく合いますよ。
(4)煮干し
煮干しにはかつお節と同じく、イノシン酸といううま味成分が含まれています。
パンチが出るので、お味噌汁や煮物などに使うといいですが、
魚臭さが苦手な方には、ちょっと臭いなと感じる方も多いと思います。
処理としては、頭やはらわたを取り除くという手間があるため、
上の3つと比べると少し手間がかかります。
煮干しは塩水で煮て作るので、他の「だし」と比べると塩分を多く含みます。
健康を害するほどのものではありませんが、気になる方は食塩不使用の煮干しを購入してみましょう。
4.「だし」の始め方
離乳食を始めたばかりの時は素材の味のみで大丈夫です。
野菜をあげ始めたばかりであれば、まず野菜本来の味を知ってもらいましょう。
おかゆ・野菜が一巡したら昆布だしからスタートすると良いです。
これは、昆布のうま味成分が母乳の成分と似ているため、赤ちゃんが受け入れやすい味だということ。
そしてアレルギーを起こすリスクが少ないことからです。
無理して使う必要はなく、赤ちゃんが食べてくれるなら、使わなくて大丈夫です。
また、毎日は大変であれば、余裕があるときだけでももちろん大丈夫です。
お肉を食べ始める7か月頃からは、お肉と昆布だしを合わせると、さらにうま味が増します。
8か月頃からかつお節を使ってみると、
昆布だしとはまた違った味を赤ちゃんに知ってもらうことができます。
「だし」でアレルギーを引き起こすことは稀ですが、ありえないことではありません。
煮干しを使われる場合は、青魚を試してみた後にすると良いでしょう。
5.まとめ
「だし」は食べムラが出てくる頃や、
離乳食に慣れてくる生後7ヶ月あたりを目安にスタートしてみるのがおすすめですよ。
「だし」をとるのが面倒なときは、塩分の有無を確認しつつ、市販品に頼ってもOK!
楽しみながら、離乳食作りを頑張ってくださいね。
次回は、簡単な「だし」のとり方とオススメのだしパックをご紹介します。
ライター:AZUMI 第一子出産を機に離乳食アドバイザー、幼児食アドバイザーの資格を取得。 親が笑顔だったら子どももハッピー!をモットーに子育てをしています★ |