はじめての育児は分からないことだらけ。

「育児用ミルクを卒業したら、フォローアップミルクへ移行しなくちゃ」

そう思われている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、フォローアップミルクのメリットデメリット、切り替え時期などについて詳しく解説します。

フォローアップミルクは、
鉄分不足の予防のために牛乳の代用品として開発された食品です。

以下では、育児用ミルクや牛乳との違い、切り替え時期についてお伝えします。

(1)育児用ミルクや牛乳との違い

育児用ミルクは俗に言う「粉ミルク」ですが、フォローアップミルクとは違います。

乳児期に母乳の代わりに飲むためのものであり、
最低限の栄養を入れる必要があると決められています。

牛乳にはカルシウムとリンが多く含まれており、鉄分の吸収を阻害してしまいます。

赤ちゃんは生後9か月頃になると、体内に貯蔵されていた鉄が減少し、鉄分不足になりやすくなります。

そのため、早期から牛乳のみを摂取し続けると、
鉄分不足を深刻化させる可能性があります。


つまり、牛乳を母乳の代わりとして飲むことはできないのです。


また、牛乳を飲ませるのは1歳以降が推奨されています。

その理由は、この時期を過ぎると離乳食が完了し、
牛乳のみでは補いきれない栄養素をご飯や肉、魚などからも摂取できるようになるからです。

それに比べてフォローアップミルクは、
牛乳には少ないビタミンDや鉄などの栄養素が加えられたものです。

そこで、9か月頃からの栄養補給にフォローアップミルクが活用されることがあります。

(2)栄養素

フォローアップミルクは牛乳に不足しがちなビタミンDや鉄分、DHAが入っています。

それとは逆に、フォローアップミルクには亜鉛や銅が入っていないのが特徴です。

あくまで牛乳の代わりなので、
フォローアップミルクだけで必要な栄養を充分に摂ることはできません。

(3)フォローアップミルクへの切り替えはいつから?

フォローアップミルクは9ヶ月頃からを推奨とされている商品が多いと思います。

ただし、これはあくまでも目安であり、
赤ちゃんの成長や栄養摂取状況に合わせて適切な時期を見極める必要があります。

離乳食が順調に進んでおり、栄養がしっかり摂れている場合は、
フォローアップミルクは必要ありません

なお、栄養がしっかりと摂れているか確認するための一つの例として、
母子手帳にも書いてある成長曲線を目安にすると良いですよ。

その時、平均と比べて上か下かを見るのではなく、
成長曲線のカーブに沿って成長しているかを見ていくようにしましょう。


前述したように、特に生後9ヶ月頃にかけて母乳や育児用ミルクの量が減る時期には、
これまで母乳や育児用ミルクから補えていた鉄分などが不足しやすくなります。

そのため、鉄分を含む食材を積極的に離乳食に取り入れるようにしましょう。

離乳食がうまく進まず、栄養の偏りが心配な場合はかかりつけの小児科医に相談するのが一番です。

医師は赤ちゃんの成長や栄養摂取状況を見極め、
適切な時期にフォローアップミルクへの切り替えをアドバイスしてくれます。

医学的にはフォローアップミルクは「不要」とされています。

日本小児科学会やアメリカ小児科学会でも
「フォローアップミルクには乳児期の栄養法としての必要性は認めない」
といった内容を発表しています。

また、厚生労働省が出している「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」には、

「フォローアップミルクは母乳代替食品ではなく、
離乳が順調に進んでいる場合は、 摂取する必要はない。」

と記載されています。

厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」

さらにフォローアップミルクは、WHOの定義では「食品」であり、「育児用粉乳」ではありません。

ですが、個々の赤ちゃんの成長や栄養摂取状況によっては異なりますので、
フォローアップミルクの必要性を考える上でのポイントを以下にていくつかご紹介します。

(1)離乳食が順調に進んでいない場合

離乳食が順調に進んでおらず、赤ちゃんが十分な栄養を摂れていない場合は、
かかりつけの小児科医に相談しましょう。

離乳食が順調に進んでいる場合は、育児用のミルクの量も減っていきますので、
フォローアップミルクに切り替える必要性はありません

(2)栄養の偏りが心配な場合

離乳食がうまく進まなかったり、極端に偏食であったりと、
栄養の偏りが心配な場合は、フォローアップミルクの活用を考えることがあります。

特に鉄分やビタミンDなどの栄養素の不足が懸念される場合は、
フォローアップミルクを利用することで栄養バランスを整えることができます

(3)体重の増加が良くない場合

赤ちゃんの体重の増加が良くない場合にも、フォローアップミルクの必要性が考えられます。

体重が成長曲線に沿って増えていない場合は、食事からきちんと栄養を摂れていない可能性があります。

このような場合は、かかりつけの小児科医に相談しましょう。

フォローアップミルクには、以下のようなデメリットもあります。

これらのデメリットを理解して、適切な使用方法を心掛けることが重要です。

(1)離乳食が進まなくなる可能性がある

フォローアップミルクには甘い味がついており、
赤ちゃんが野菜などよりもフォローアップミルクを好む可能性があります。

赤ちゃんがフォローアップミルクだけを好んで摂取すると、栄養バランスが偏ってしまいます。

そのため、フォローアップミルクの目安量を守り、
赤ちゃんが日頃好んで食べる離乳食にフォローアップミルクを混ぜて作ると良いでしょう。

(2)虫歯のリスクがある

フォローアップミルクには糖類が含まれており、虫歯のリスクがあります。

特に哺乳瓶で飲む場合は、ミルクが歯に付着しやすく、虫歯のリスクが高まります。

そのため、フォローアップミルクを飲ませる際には、コップやマグを使用することをおすすめします。

また、フォローアップミルクを飲んだ後は、お水を飲ませたり、
歯を磨いたりするなどの対策を行うことで、虫歯のリスクを軽減することができます。

(3)栄養バランスが劣る

フォローアップミルクは、牛乳の代わりとして利用されるものであり、育児用ミルクとは異なります。

そのため、フォローアップミルクだけでは栄養が不足してしまいます。

「育児用ミルクより安価だから」
という理由で切り替えて栄養失調になる場合も報告されていますので、
フォローアップミルクは離乳食と併用して与えることが重要です。

赤ちゃんがフォローアップミルクを好まない場合には、
離乳食にフォローアップミルクを混ぜてみましょう。

フォローアップミルクは牛乳の代わりとして使用することができます

グラタンやスムージー、パンケーキなど、
牛乳を使うレシピにフォローアップミルクを混ぜて作ることで、
栄養価の高い離乳食を提供することができます。

パンを手作りする場合は、スキムミルクの代わりにすることもできます。
その分お砂糖も減らして作ってみてくださいね。

筆者が一番よく作っていたのは、野菜のポタージュです。

野菜ペーストに育児用ミルクやフォローアップミルクを入れ、お湯でとくだけ!
とっても簡単ですし、お野菜も摂れるのでおすすめですよ。

フォローアップミルクの対象は生後9ヶ月以降であることが多いので、
離乳食後期や離乳食完了期のレシピを参考に、フォローアップミルクを活用してみましょう。

フォローアップミルクについて、
「9ヶ月から飲むミルク」と思っている方も多いのではないでしょうか。

フォローアップミルクは、母乳代替商品ではなく、牛乳の代わりです。

記事の内容を踏まえ、かかりつけの小児科医のアドバイスを受けながら、
適切な栄養補給方法を見つけていきましょう。

ライター:AZUMI

第一子出産を機に離乳食アドバイザー、幼児食アドバイザーの資格を取得。
だしソムリエの資格を持っていたことから、離乳食とだしの関係に興味を持ち、
離乳食おだしインストラクターの資格を取得。

親が笑顔だったら子どももハッピー!をモットーに子育てをしています★
現在は仕事をしながら、子育て中の食事に関する悩みを持つ方々の相談会を実施しています。